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◆はじめに
リハビリテーション医療チームは,リハビリテーション科医を中心に, 理学療法士, 作業療法士, 言語聴覚士,義肢装具士,看護師,薬剤師,歯科医師,歯科衛生士,管理栄養士,臨床心理士,臨床検査技師,臨床工学技士,医療ソーシャルワーカー(MSW), ケアマネジャー, 介護福祉士等の多岐にわたる専門職で構成されています.リハビリテーション科医は患者さんのリハビリテーション治療を進めるにあたり,チームの柱となって円滑な意思疎通を図り,医療機関や施設の特性を生かしつつチーム全体をリードする役割を担っています.
急性期においては疾患の発症後できるだけ早期にリハビリテーション診療を開始することが重要です.疾患に対する治療と並行してリハビリテーション治療を実施し,患者さんの状態の変化に応じて随時目的や内容を見直す必要があります.このため,特に診療科の医師や病棟の看護師との緊密な連携が求められます.
また,急性期の治療内で十分な機能回復が見込めない場合には,リハビリテーション治療を目的とした転院が必要となります.この際は患者さんの状態や希望,疾患予後に即した転院先の選定が望まれます.また患者さんが自宅へ退院する際には,ADL(activities of daily living,日常生活動作)を維持するための生活期リハビリテーションが必要になることもあります.リハビリテーション診療は,急性期から回復期,そして生活期へと一貫して提供されることが重要であり,その過程では病院間や地域とのスムーズな医療連携が不可欠です.患者さんそれぞれの背景や疾患の特性,希望に応じて適切な施設へとつなぎ,リハビリテーション治療を継続し,最大限の機能回復を目指すことが求められます.
健康保険を使用した疾患別リハビリテーションには保険算定期間が設けられているため,この期間内で最大の機能回復が得られるように工夫する必要があります.急性期における疾患治療が終了したのちには,期間内にリハビリテーション治療ができるだけ多く受けられるようになるべく早くに回復期に転院するのがよいでしょう.またその後の生活期のリハビリテーションへスムーズに移行するためには,社会保険制度を十分に活用し調整する必要があります.平素より健康保険制度や社会保険制度について理解を深めておきましょう.
リハビリテーション科医には他科との連携や他院への紹介を円滑に行う能力が求められます.以下に参考となるポイントを挙げてみたいと思います.
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