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ペニシラミンによる味覚脱失,他
Loss of taste during therapy with penlcillamine.,他
Keiser, H. R.
,
Henkin, R. I.
,
Bartter, F. C.
,
Sjoerdsma, A.
pp.600
発行日 1968年6月1日
Published Date 1968/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406202389
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ペニシラミンはWilson病,シスチン尿症,sclerodermaなどにもちいられる。その副作用に皮膚発疹,発熱,リンパ腺腫脹,無顆粒球症,ネフローゼなどがしられている。食塩や汗に味を感じなくなつたというのはSternlieb (JAMA 189: 748,1964)の1例が報ぜられているが,本剤続行中6カ月で自然に回復したという。著者は硬皮症11例(18〜56歳),シスチン尿症9例(18〜42歳)に,前者ではペニシラミン250mg/日で始め,ついで2〜14日に250〜500mg投与,総量2〜5g,後者は1日量2g (分4),ピリドキシン50mg併用を行ない,Henkin法(J. Clin. Invest.42: 727,1963)で味覚を精査した。硬皮症から4例,シスチン尿症から3例(全部で35%の頻度)の味覚異常が起こつた。大体3〜6週後からはじまり,例外的に3日後,12カ月後というのがあつた。ペニシラミン13カ月以上使用の2例は治療中,味覚異常がそのままつづいた。しかし,ペニシラミン中止で全例4〜6週後に,正常に復した。再びペニシラミンを始めると,また6週内に異常が発生したという2例がある。味覚異常の最初の症状は,saltyあるいはmetalic tasteの減退で,食事の食塩量がふえ,飲みものに多くの砂糖を加える。アイスクリーム,チョコレートはまつたく味がないという(1例はチョコレートが辛いと云つた)。魚,肉は鑑別できた。悪心,嘔吐なし,下痢,便秘,消化障害なし,食塩に対する平均検出域は正常人の12倍などという状態。これは舌炎が起こるためではない。嗅覚は正常。
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