講座
胃・十二指腸潰瘍手術の術前術後・術中処置
川村 雅俊
1
1東京慈恵会医大
pp.216-221
発行日 1956年4月15日
Published Date 1956/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910110
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こゝ数年来,外科的に治療される胃潰瘍の患者が甚しく増大してきた。この理由は極めて簡単で,胃潰瘍の手術成績が良好であるからという一語につきる。しかし手術成績が優秀であるからといつて,たゞ手術だけが独立して云々されるべきでなく,手術前後の処置の適否が,手術の成績に大きな影響を及ぼす。胃癌の手術は病変の進行状態いかんに応じて部分的胃切除術,胃全剔除術,胃腸吻合術など色々の術式が試みられるが,胃・十二指腸潰瘍の場合には,ほとんど一様に部分的胃切除術が行われるから,手術そのものよりも術前後処置のいかんが手術成績に関係し,手術死さえなければ手術によつて病気は治癒する。従つて看護を担当する側の責任はそれだけ比重が重くなつている。
以下,わたくしたちの教室で行われている胃潰瘍手術の前後処置を主として述べるが,いうまでもなく,手術,開腹術,胃切除術の全般に通じる処置がその根本をなしており,胃潰瘍手術のための時別な処置というものは非常に少ない。
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