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特集 吐血と下血
綜説
胃・十二指腸潰瘍出血について
acute hemorrhage from gastric and dusdenal ulcer
勝屋 弘辰
1
,
小林 節昭
1
1熊本大学医学部第二外科
pp.919-931
発行日 1956年12月25日
Published Date 1956/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201894
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まえがき
胃,十二指腸潰瘍出血は,潰瘍穿孔及び狭窄或は癌性変化等と共に重大な潰瘍の併発症であり,古来この問題は幾多の人によつて論ぜられた.殊に出血の治療法に関しては即時手術をとなえる学者或は保存的治療を主張する学者又は両者の中間をとり或例には手術を行うが可とする者があり,その治療方針に関しては未だ完全に意見の一致をみていない.治療成績をみても各自それぞれの結果を出し,同じ治療方針で行つた治療の結果でも千差万別である1,4,6,7,14,37).このような差異の甚だしい報告がなされるのは治療方針或は方法が種々取られていて統一のないことにもよるが,その最も大きな原因は,如何なる程度のものを出血患者として取扱つたかという規準が各人各様で何等の統一がないことによると考えられる.何如に治療方針が同じでも,異つた規準の患者を取扱つてその治療成績を云々しても,その治療法の比較検討は難しいことは当然なことである.われわれが出血患者を診療する場合,最初に必要なことは出血患者の定義,規準を明確にすることである.これに従つてその治療方針も自ら明らかになつてくるであろう.
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