講座
胃潰瘍手術患者の看護
佐藤 彌満
1
1東京慈恵医大外科病棟
pp.222-227
発行日 1956年4月15日
Published Date 1956/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910111
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まえがき
胃潰瘍の手術をするために外科へ入院する患者は,内科的療法を受けた既往があるか,或いは長年の胃症状に悩んでいて,結局,外科的治療をすゝめられた場合が大部分であるので,胃の手術をすることに対して多大の不安をもつて入院してくるものである。その上胃潰瘍患者は性格的にも神経質な人が多いので,なおさら不安の念を増すことになる。この人達の苦痛や恐怖をすこしでもなくし,安心して手術を受ける様に医師の介助をする心構えが,看護の第一歩であり,さらに術前,術中,術後を通じて細心の注意を払つて看護に万全を期し,いろいろな技術に習熟して患者の信頼を得るように努めなげればならない。胃潰瘍患者のなかには,このように比較的慢性の経過をとつて入院してくる人もいれば,胃出血や胃穿孔をおこして外来に急患として来院した全身状態の重篤な患者もあつてこのような場合には患者は勿論,家族の者の精神的動揺も強いので,一層充分の注意を払つて胃潰瘍手術の安全なことを充分説明してその不安を除いてやらなければならぬ。こういうような点を私達看護婦は先ず第一に考慮に入れて,医療と相俟つて手術経過の安全と,その向上を図つているが,以下,私達の行つている看護の要領を中心にすこしのべてみよう。
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