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心臓病の食餌
西村 きみ
1
1荻窪病院
pp.48-51
発行日 1955年12月15日
Published Date 1955/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909999
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心臓病は第一に安静,第二に藥,第三に食餌が大切とされています。それで心臓病と云つてもいろいろの種類がありまして,代償機能の障害された程度によつて,代償期と代償失調期とに分けられます。代償期とは心臓が機械的な障害をもつているにかかわらず,血液循環がほぼ正常に営まれて日常の行動に差支えのないものを云い,代償失調期とは心臓機能に失調が起つて種々の症候があらわれて苦悩を来し日常の行動に支障の起るものを云います。この代償失調期にはいわゆるうつ血現象を呈して呼吸困難,浮腫,乏尿,ウロビリン尿,静脈圧上昇,肝臓腫脹を来す慢性心不全と,心性喘息,狭心症,心筋梗塞,心性脚気等の急性心不全等がありますが,これ等の症候を来す原病は,心外膜疾患(心嚢炎),心内膜疾患,各種の心臓弁膜症,心筋疾患(肺気腫,肋膜肥厚,高血圧病,萎縮腎,脚気,出産後の特発性心筋症,バセドウ氏病)冠動脈硬化症などであります。このうつ血性心不全に対しては,全身を安静にして,栄養のある,消化吸收のよい食品を,薄味にして,少しずつ数回に分けて与えるのがよいのですが,もう少し詳しく食餌療法について申述べて見ますと次のような方針で行えばよいわけです。
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