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准看護教育に当つて
杉谷 藤子
1
1国立島根療養所附属准看護学院
pp.73-75
発行日 1955年12月15日
Published Date 1955/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910006
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准看護婦制度の是否論が,私達の間で盛んに問題に成つたのは,まだ私が看護学院の学生の頃でした。何んだか充分に分らない乍らも一人前の如く,あゝだ,こうだと論じたものですが,先輩看護婦及私達学生仲間の大部分は,制度に反対の様でした。というのは,戦後ようやく看護婦の地位向上が叫ばれ,充実した立派な看護婦を作りあげようとされているのに,一方そうした准看制度をつくれば,結局数的に准看護婦の方が多く成つて来たら,平均されたレベルが下つてしまうと云うのが大きな結論の様でした。そう云われてみれば,全くそうです。高校3年と高看3年に比し,中学卒で准看2年と成れば,そこに4年の差が出て来ます。そして年令的にも若過ぎる(人の生命を扱うには)看護婦さんが出来上るのです。がその中にあつて,私は賛成を唱えて来たのです。今から考えて見れば,その賛成論たるや大いにあやふやなところもありますし,又こうして,わずか乍ら2年近い間,准看護学院の教員を経験してみて,考え直させられる点も多々あります。でもその頃,当然のこと乍ら,人間は学歴だけで,立派な役立つ成人か否かを左右されるので無く,あくまで個人の素質と努力によりきずかれた人格によるものだと深く信じていました。どんな最高府の学校を出られた方でも,そのすべての方達が世の大人の中で一番優れた人達であるかと問えば,必ずしもそうでは無いと思います。
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