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女の十二ヶ月—六月・雨と女
村田 修子
pp.42-44
発行日 1955年6月15日
Published Date 1955/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909853
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雨だれの音の向うの梅雨はげし(梵)
立子はさつきから幾たび,つぶやいたことだらう。もう今日で一週間,降りつづいた雨である。ニコヨンをしている妹の夫のことが案ぜられる。いつかも,五日間も降りつづいた時,千円の借金を申し込んで来た。あの時は,一千円の用意があつたけれど,今日は月給日を明日にひかえて,僅か今夜のおかずを買うコロツケ二つ分のお金しかない。—
雨だれの音の向うの梅雨はげし………
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