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女の十二ケ月—十月・川と女
村田 修子
pp.81-84
発行日 1954年10月15日
Published Date 1954/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909663
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秋の夜,風に動く盧の音,そして艪の音,その間に時々,よしきりが思い出したように鳴く—。
由利子は川が海へ流れ出る間際の河口の土手に立つて多智子を待つていました。約束の時間より15分も過ぎているのに,でも由利子は少しもいらいらしませんでした。この河口の流れをみていると心が静まり,即興の詩でも口ずさみたくなるような—で由利子はつぶやきました。
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