病室の花
花の香り
浅山 英一
1
1千葉大学園芸学部
pp.53
発行日 1955年2月15日
Published Date 1955/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909754
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花の香りはいろいろです。何とも云えないよい勾いなどといいますが,口でも云えず,文字にも仲々あらわせないものです。
花の香りは複雑で,化学的に合成した香料では,それに近いものは出来ても,自然の花の香りそのものを調合することはむずかしいのです。色は紅とか青とかあらわす言葉があつても,香りだけは,ドレミファのように現わせす,又香に対する訓練も出来ていません。
よい香といやな香は誰にも判り,ヘリオトロープのように甘い香,ユリやスイセンのように爽快な香りは喜ばれ,クサギの葉やチユーリップの匂いはあまり喜ばれません。
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