——
病室の花
浅山 英一
1
1千葉大学園芸学部
pp.71
発行日 1955年1月15日
Published Date 1955/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909740
- 有料閲覧
- 文献概要
病室へ絶えず贈られて来る季節の花は病める人を心から慰めるものです。冬の花は大部分,温室やフレームで育つたユリや水仙,チユーリツプ,スイートピー,カーネーシヨン,アイリス,キクなどが多いものですが,暖地の戸外で作られたヤグルマソウやキンセンカ,チドリソウ,水仙などもあります。
大体,冬は気温が低いので花も随分長持ちするもので,スイートピーやカーネーシヨンが夏には一週間がせいぜいのところを,半月以上も持つており,スイートピーなどは花が済んだ後に小さな莢さえ大きくなつてゆきます。温室育ちという言葉があるように,温室で育つた花は湿度も多く,暖かい部屋で作られたものですから,病室がひどく乾燥していたりするとひどく傷むことがあります。その上,温度が高くては,当然長持ちする花も早く萎れるような結果になり勝ちです。
Copyright © 1955, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.