——
―アメリカ赤十字社の創立者―クララ・バートンの生涯(1)
高橋 功
pp.38-41
発行日 1953年7月15日
Published Date 1953/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909367
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1863年10月26日から同月29日まで,ヨーロッパ各国から派遣された36人の代表者がジュネーブに会合して,アンリー・デュナンが発案し,ジュネーブ公益委員会の起案した国際赤十字社創立の議案を,将軍デュフール及びモアニエを議長として,討議しました。その議決に基いて1864年スイス政府の名に於て,戦傷者の中立問題に就いて協議するために同年8月8日から同月22日までジュネーブで国際会議を開催しました。この第1回ジュネーブ会議で所謂赤十字条約が成立したのです。そして先ず12ヵ国が之に調印し,引続いて各国が加入を申込み,程なく36国の加盟をみるに至りました。
ところがアメリカは久しい間この赤十字社条約に加わりませんでした。それはアメリカ政府が,アメリカ大陸以外の国際政治には関与しないという所謂モンロー主義を固守して譲らなかつたからです。そうした孤立を破つてアメリカが赤十字社を創立したのは17年後の1881年のことでした。その創立のために熱心に運動をつづけたのが,クララ・バートンなのです。
Copyright © 1953, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.