醫學のあゆみ・15
抗ビタミン物質
杉 靖三郞
pp.31
発行日 1952年11月15日
Published Date 1952/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661907169
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ビタミンの研究は最近とみに進歩して,その種類は,現在では40種以上にもなつている。ところがこのビタミンの作用を妨げたり,無効にしたりするような物質のあることがわかつた。このような物質を,抗ビタミン物質とよんでいる。
たとえば,脚氣の患者にはビタミンB1を與えればよい。ということがわかつているが,このB1をいくら内服させても,一向に脚氣の良くならない患者がある。この理由が,いままではよくわからなかつたが,これは,腸のなかに,B1を分解してしまうような酵素をもつ細菌がいて,B1を破壞してしまうからであることがわかつた。このような酵素を,B1を分解する酸素—サイアミナーゼ,またはアノイリナーゼ—とよぶ。
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