発行日 1952年11月15日
Published Date 1952/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661907168
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(5)人造絹糸とステープルフアィバー Aertificial silk and Staple fibre
人絹もスフと同じ原料同じ藥品でできたものであるが,スフは人絹を態々3-10cmの短かさに切つたものである。こうして切ることによつて紡績することができる。紡績というのは短かい織維をそろえて撚りをかけて糸を紡ぐことであるが,こうすると絹や人絹だけでは見られない軟かく彈力ある糸や織物ができ,保温性も光澤も人絹よりずつとよくなり,用途も廣くなるものである。
人絹は絹代用品として生れたものであるが,絹より遙かに重く,冷たく,いやな光澤があり皺になり易く弱いという缺點があるが,スフにすると紡績の關係から毛羽立つてふつくらした糸と織物になるので,輕く軟く皺になり難くその他上に述べた色々な長所を出してくるのである。しかし弱さの點は人絹と同じ原料で如何ともできないが,最近の人絹スフの改善は原料への加工紡糸法の改善,緊張紡糸法などで,分子の配列を有利にして,費用さえ惜しまなければ,本來の絹に匹敵するくらいのまでできるのである。
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