醫學のあゆみ・12
胎盤ホルモン
杉 靖三郞
pp.31
発行日 1952年7月15日
Published Date 1952/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661907093
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この頃,胎盤を皮下に移植して若返りをすることが,おこなわれている。最近も,さる詩人がこの胎盤移植手術をおこなつて,急に元氣になり,體の調子も若返り詩作もできるようになつたことが新聞に出ていた。
若返りの目的で,性腺そのものを移植することは,今世紀の初め頃すでにボロノフ(Woronoff)によつて,目家實驗がおこなわれ,一時的に“性”の回復のおこることが見られた。しかし,やがてあとではかえつて,ガタツとその老衰が速められることのあるために,あまりよくない,ということになつた。新しい研究によると,性腺それ自身を與える方法は,性の回復にとつては,移植にしても注射にしても,よくないこと,がわかり,これに代つて,性腺を刺激するために,下垂體や胎盤がもちいられるようになつた。そのほうが效果はよいようだというのである。それは,これらには性腺刺激ホルモン(Gonadotropic Hormone)がふくまれているからである。そして牛の下垂體に比して,胎盤は人間自身のものがもちいられるので,移植の結果もよいというのである,
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