指標
胎盤のペプチドホルモン分解酵素を考える
水谷 栄彦
1
,
友田 豊
1
Shigehiko Mizutani
1
,
Yutaka Tomoda
1
1名古屋大学医学部産科婦人科学教室
pp.967-979
発行日 1988年11月10日
Published Date 1988/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207886
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胎盤にはオキシトシンを分解する酵素やアンジオテンシンを分解する酵素の存在が示唆されていたが,その本体は殆んど不明であった。筆者らは胎盤中の各種アミノペプチダーゼ類を検索し,それら酵素によるアンジオテンシンとオキシトシンの代謝分解について検討してきた。その結果,妊婦血中に存在するいわゆるオキシトシナーゼ(Fekete,1930)やアンジオテンシナーゼ(Page,1947)の性質が明らかになった。最近では胎盤にブラディキニン分解酵素の存在を認め,その酵素の性質も明らかにした。
オキシトシンは強力な子宮収縮ホルモンであるが,妊娠中期には比較的大量投与しないと子宮は容易に収縮しない。ところが妊娠末期には微量のオキシトシン投与によって子宮は鋭敏に反応し,収縮を開始するので,陣痛誘発に広く使用されており,オキシトシンは古くからヒトの陣痛発来ホルモンと考えられている。
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