産科内分泌学入門・17
胎盤の蛋白性ホルモン
安水 洸彦
1
,
加藤 順三
1
1山梨医科大学産婦人科
pp.708-713
発行日 1984年8月25日
Published Date 1984/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206504
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プロゲステロンやエストロゲンなどのステロイドホルモンだけでなく,ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG:human chorionic gonadotropin)やヒト胎盤ラクトーゲン(hPL:human placental lactogen)をはじめとする蛋白性ホルモンも胎盤で豊富に産生されている。また,胎盤は下垂体の甲状腺刺激ホルモンや副腎皮質刺激ホルモンに類似した物質も産生しているし,さらに視床下部由来であるLHRH(黄体ホルモン放出ホルモン)やTRH(甲状腺刺激ホルモン)様物質まで産生している。いわば,視床下部-下垂体-性腺系といった内分泌システムを一括して保持しているわけで,胎盤という臓器のユニークさがうかがわれる。ただし,本物の視床下部-下垂体-性腺系のような精密な制御機構は胎盤にはみつかっていないし,いくつかのホルモン様物質については,それがどのような働きをしているのかも不明なものが多い。
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