2頁の知識
腦波
島園 安雄
1
1東大腦研究所
pp.22-23
発行日 1952年6月15日
Published Date 1952/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661907072
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腦波とは
神經を刺激ずると,その神經は「興奮」を起し,このようにして起つた興奮は神經の中を傳わつて擴がります。いま第1圖のように1本の神經線維の2ヵ所に電極をあて,この電極の間に電流計をはさみますと,神經線維の中を興奮が傳わつてA點に達した時に矢の方向に電流が流れることが解ります。即ち神經が興奮するとその部分は他の部位よりも電位が低くなるのでありまして,これを神經の活動電位と呼びます。
このように神經が活動するとそれに伴つて電氣現象が起るのでありますが,腦には無數の神經細胞と神經線維が集つていますので,ここからは複雑な電氣活動が認められるのであります。いま人間の頭の上に2つの電極をおきますと,この間から小さな電氣の振動が得られます。これは非常に小さいもので,1ボルトの1萬分の1か10萬分の1位でありますが,それを眞空管を用いた増幅器で大きくして記録しますと第2圖のような波が得られます。これは腦から出ている波ですので「腦波」と呼ばれています。人間の腦からこのような波が出ていることを始めて發見したのはベルガーというドイツの精神醫學者で,今から20年餘り前(1929年)のことであります。
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