Japanese
English
報告
皮膚觸,壓刺激の腦波への影響と腦波の生理學的解釋について
On the influences of cutaneal pressure and touch on EEG and the physiological significances of EEG
佐藤 謙助
1
Kensuke SATO
1
1新潟大學醫學部生理學教室
1the Department of Physiology, Faculty of Medicine, Niigata University
pp.85-89
発行日 1953年10月15日
Published Date 1953/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905742
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地球上,即ち重力の場で動物が靜止しておれば身體の表面の皮膚のどこかが壓迫され,動すば觸れる。逆に皮膚の壓や觸り刺激は身體の殆んどすべての機能に影響があることを高木等は示した1)。例えば身體の片側の壓迫では自律神經の諸機能2)(汗,涙液,固有唾液や腎の尿等の分泌,鼻甲介の腫脹,肺聽診音,肺血流,氣管支,皮温,腋窩温等その他)や錐體路と錐體外路系の機能3),4),5)(膝蓋腱反射,筋緊張や姿勢等)等は壓迫側と反對側とで互にreciprocalな効果が見られる。そして兩側の壓迫ではこれらの諸機能が兩側で共に低下し全身性抑制効果が起る。この他「ふるえ」,全身性振盪,小腦性tremor,呼吸や心博リズム等の周期的興奮も亦皮膚壓迫で抑制される6)7)8)。
この壓反射による全身性抑制効果は人間で最も起り難く,犬や猫,兎の順に起り易い。そして鶏では片側の壓迫でも強い場合には既に全身性抑制が起り,蟇や蛙特に蛙では僅かの部分の皮膚壓迫でもそれが起る。そして昆虫で更に弱い刺激で動かなくなる。つまり動物の進化が進む程起り難い傾向がある9)。この効果は壓迫を除いてもしばらく殘るが,皮膚の觸刺激ですぐに消え去る。又上述の種々の周期的興奮は觸刺激で促進することも高木等によつて示され,觸反射は壓反射と拮抗的な効果を起すことが判つた。
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