発行日 1951年7月15日
Published Date 1951/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906889
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患者の呼吸と心臓の摶動が全くとまつてしまい暫らく經過を見守つていてもこれらが再開せず瞳孔の散大がおきているとき,醫者はその患者の死を宣告する。呼吸運動と心摶動は人間が生きている間一刻の休みもなく續けられるが,呼吸運動が産聲と共に始まるのに對して心臓の活動は胎兒のときからずつと續いている。胎兒の心臓が發育の障害をうけたり,母體と共に炎症を起したり,出生後には閉ぢるべき筈のボタロー氏管が開いたまゝであつたりすると心臓と大血管の位置や構造に異常,いわゆる先天性心臓疾患が起る。この異常のはなはだしいものは生後數日で死んでしまうが,比較的輕いものは生きのび,後に色々の故障をおこして醫治を乞うようになる。しかし我々が日常扱う心臓病患者の大部分は後天性の心臓疾患であつて,先天性のものは心臟病全體からみると僅かである。後天性の心臓病はいろいろの原因で起るが,主な原因としては關節リウマチ,梅毒,高血壓症,冠状動脈硬化症,諸種の球菌による心臓感染があげられる。また主として侵かされる心臓の解剖的部位から心内膜疾患,心臟辨膜症,心筋疾患,冠動脈疾患,心膜(心嚢)疾患にも分類出來る。
次に心臓病の代表として不整脈,狹心症,欝血性不全の3つをあげ,看護の上から必要な注意を附加えよう。
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