病院職員のための医学知識・15
心臓病の知識
三浦 勇
1
1佼成病院・心臓科
pp.56-57
発行日 1974年3月1日
Published Date 1974/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541205298
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よく虚血性心臓病という言葉が使われますが,それにはどんな病気が含まれるのですか.
虚血性心臓病とは,心筋の栄養血管である冠状動脈の血流障害によって,心筋に酸素欠乏,変性,壊死などの‘虚血性’変化を生じ,その程度に見合う狭心痛,不整脈,循環不全などの諸症状を呈する疾患の総称で,狭心症と心筋硬塞および両者の中間の状態がこれに含まれます.
栓塞症のような稀な例外を除けば,虚血性心疾患の原因の大部分は冠状動脈硬化です.動脈硬化のおこり方には,いくつかの型がありますが,冠状動脈に見られるのは,主としてアテローム硬化であります.つまり,動脈の内膜に,脂肪の変性物であるアテロームと呼ばれる‘おから’状の物質が堆積し,これに石灰化,壊死,出血などの変化が加わって,内膜の肥厚,内腔の狭窄,さらには閉塞などがおこり,冠動脈血流を障害するのです.
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