特集 助産婦に必要な薬の知識
(1)妊産婦とくすり
産科における心臓病とくすり
大内 広子
1
1東京女子医大産婦人科
pp.29-33
発行日 1969年9月1日
Published Date 1969/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203801
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はじめに
妊娠,分娩は生理的なもので,なんらの異常も認めず経過し,無事に分娩まで終了する場合が大多数であるが,ときにおもいがけない事故にあい,今更のごとく産科のむずかしさ,こわさを感ずるのである.健康な婦人においても妊娠という負荷が加わると,すべての代謝に変動をみるのであるが,すでに母体に疾患をもっていたものには妊娠による影響が大であることは当然である.
心疾患をもっているものはすでに程度の差はあるが,循環動態に変動があるのに,その上に,妊娠,分娩が加わることは循環系に著しい変動がおこり,ときには心疾患の増悪をみ,また母体の生命を危険にさらす場合もあり,反対に心疾患合併者でも心機能に余裕があれば代償機能不全におちいることなしに,無事に妊娠,分娩がすむ場合もあり,その管理はむずかしい.近時心臓外科の進歩とあいまって心疾患患者の妊娠,分娩のケースは増加してきた.今回は私の経験した心疾患患者の妊娠,分娩例をもとに,妊娠,分娩,産褥中の注意事項をのべてみたい.
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