外科醫のノート
外科と心臟
樫田 良精
1
Ryosei KASHIDA
1
1東大佐々内科
1Univ. of Tokyo, the SASSA Medisin
pp.566
発行日 1950年11月20日
Published Date 1950/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200730
- 有料閲覧
- 文献概要
戰時中減少しつゝあつた高血圧症や心臟病などの循環器疾患が最近再び著しく増加の傾向を示している. 私は外科領域の方にも心臟病についての関心をもつと高めて頂きたいと思う.
最近こんな例があつた. 45歳の男が突然心窩部に激烈な痛みを覚え,鎭痛剤の注射で中々とまらず,なお惡心嘔吐,冷汗,蒼白などのシヨツク症状を呈し,発熱,白血球増多のあるため腹部の急性疾患の疑で開腹手術を行つたが何の所見もなくそのまゝ閉ぢた. 其後或は気管枝炎,或は気管枝喘息などと診断されて治療をうけたが軽快せず,疼痛と呼吸困難の発作が連日おこるようになつたので来院した. 心電図檢査をしたら心筋梗塞であつた. この患者は直に入院治療をうけ,幸には軽快して退院した.
Copyright © 1950, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.