発行日 1951年7月15日
Published Date 1951/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906890
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顏があおざめ手足がつめたく血の氣がうすれ,額や腋の下に冷汗をながし,脈はよわく觸れにくい。呼吸は淺くてはやい。いかにも重い病人のように打ちひしがれており,意識がにごつたり,なくなつたりしている。こういう状態がシヨックである。
シヨックでは脈がよわい。これは心臓から出る血液が減り,血壓が下つているためである。ところが脈の數は120,130というようにひどくふえてゆく場合と,60,50というようにへつてゆく場合とがある。ふつうには脈のへるシヨックを一次シヨツクとよび,脈のふえるシヨックを二次シヨックとよんでいる。一次シヨックは副交感神經が緊張亢奮しているのであるが,多くは精神的神經的な原因で,ある種の特殊な患者にあらわれる。今度の大戰でロンドンにⅥ號Ⅶ號などという爆彈がおちたとき,その直接の害を全くうけない婦人子供などが,恐ろしさのために,たくさんこの型のシヨックになつた。裁判にまけ歩がわるくなるとこの型のシヨックになる婦人がいる。冬眠している蛙は副交感神經が緊張して脈が少い。これは一種の防衞的な出來事と考えられている。そこで,このような精神的な原因でおこる一次シヨックは(精神原性シヨツクとよぶ),みずからシヨックに陷つて,それ以上の外力から自分を守ろうとする防衞反應であると考えることもできる。
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