発行日 1951年4月15日
Published Date 1951/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906832
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小兒まひは傳染病
這えば立て,立てば歩めと望む親心は何時の世でも,いずれの人種にも變りない人間性の發露である。無事に誕生祝い,2つ3つになつて,片言が可愛く,足の運びもようやくしつかめして來た赤ちやんが,二三日風邪をひいて熱を出し,肺炎でも起しはしないかと心配しているうちに熱が下つて,やれやれ安心と思つて床をあげようと思つたとたん,足がだらりとまひしてしまつて,歩くはおろか立ちも出來ない。それ以來からだは普通に大きくなつていつたが,足だけは細くて動かす,一生手押車の上で生活をしなければならない身になつてしまつた。こういうのが小兒まひの一番ありふれた起り方である。勿論まひの起り具合にはぴんからきりまであつて,始め一寸手足の動かし方が不自然に見えたが,何時の間にか元通りになつてしまう場合もあり,一旦ちんばで歩けなくなつたが,三ヵ月か半年治療を續けたら大体普通に生活が出來るようになつたという場合もある。不幸な場合には一生立ち歩きが出來なかつたり,片手,兩手が使えなくなつたりする。稀には急に呼吸まひや循環系のまひが起つて,あつという間に死亡することもある。世界中何處の國へ行つても,手足の不自由な人々の最も多くの部分は,この病氣が原因になつている。
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