公衆衞生學講座・3
小兒衞生學—第1講
齋藤 潔
pp.240-241
発行日 1946年12月25日
Published Date 1946/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200083
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總論
1.小兒衞生の意義と範圍
衞生學の實際的分類に二つのものが考へられる。一つは縦の分類ともいふべきものであつて,授胎から始まつて母胎内の胎兒,次いで出生といふ事實があつて,こゝに乳兒(新生兒を含む),幼兒,擧童,少年,青年,成人といふやうに年齡的區分に依り,その時期の個體及び集團を對象としての衞生が考へられ,他は横の分類ともいふべきものであつて,先天性と後天性とに分ちながらも,主として環境衞生の内容の分類ともいふべきものと,疾病の豫防とである。疾病豫防といへば凡ての疾病の豫防を包含するのであるが,環境と一般の疾病との關係に就ての衞生は環境衞生で取扱はれるので,こゝでは主として細菌擧,免疫學,衞生動物學等を基礎とする傅染病の豫防が取扱はれる。傳染病の豫防を主とする疾病豫防は豫防醫擧ともいはれてゐる。又た急性傅染病の豫防を應用方面では防疫といふ。
而して小兒を對象とする小兒衞生の内容は,母體の妊娠,分娩,産褥を通じての胎兒を主とする衞生を母性衞生といひ,次で來る小兒期の衞生が狭義の小兒衞生である。學童の衞生を學校といふ環境と結び付けて取扱ふ場合には學校衞生といひ,環境衞生に包含されることゝなる。又た母性衞生は女性衞生とは異り,女性の衞生の全體から見ればその一部分とも考へられるが,胎兒を對象とする場合には小兒衞生の一部門である。
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