身體障害者福祉法について

　社會事業は嘗て慈善事業的色彩の強いものでありましたが，今日においては，國民が總て幸幅な生活を得るには國民各自が社會連帶の責任において相互に助け合わねばならないということに基調を置いて理解さるべきものといわれております。即ち近代國家，近代社會は凡て國民の最低生活を保障することを目指しているのでありまして，社會事業を含むより廣汎な社會福祉を重要な政治の目標としております。このことは我が國の憲法第二十五條をみましても明らかであります。

　そうして新しい社會事業の考え方にもとずく醫療社會事業の面におきましては國は皆さん方に多大の期待をしているものであります。ところで，昨年4月より施行されました身体障害者福祉法も皆さん方に實に深い關係があるのでありまして，特にこの法律においては，（十八條）醫療保健施設に對しては都道府縣知事より身体障害者の醫療又は保健指導について紹介があつたときはその更生のために協力しなければならないという規定を設けて一種の義務を課していることを念頭において頂きたいと思います。