発行日 1951年4月15日
Published Date 1951/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906831
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最近小見麻痺に關しVirus學の進歩は著しく,其の病源Virusの型の分類或は小兒麻痺患者から新しい種類のVirus(Coxsachie group)の發見等傳えられている。我國では多く4歳以下の子供が罹患するので小兒麻痺と呼ばれているが,米國其他では患者の3分の2以上は5才以上で,小兒の病氣とも云えない現状である。本病は急性に來る四肢の運動麻痺が特徴であり,前の晩迄元氣に遊んでいた子供が翌朝目覺めてみると,手足が動かなくなつている。此の早朝麻痺(Morgen-Lähmung paralysis of the morning)は時々我々が經驗する事である。併し大多數は突然發熱し,38°〜39℃を數日間經續して後に初めて麻痺に氣付き,本病氣だと確認する事が多い。流行時の7月頃でも子供が發熱した時,四肢の麻痺が起る迄は初期症状即ち身体の疼痛・發汗・下痢・便泌・アンギーナ・鼻カタル・咳嗽・惡心・嘔吐・ケイレン・脳膜刺戟症状・發疹・知覺麻痺及び異常腱反射の異常等は他疾患との鑑別には役立ず,此の病氣を早期に診斷する事は非常に難しい。
麻痺は弛緩性の麻痺で其の程度は一時的で後に麻痺を残さぬものから,永久的な不具となる程度のもの迄ある。麻痺部位は上肢より下肢が多いが,股關部・膝關節で自働運動が不能になり,よく見られる内反足・尖足・内反尖足の位置を取る様になる。
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