講座
乳幼兒の口腔衞生
丹羽 輝男
pp.16-20
発行日 1952年3月1日
Published Date 1952/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200055
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乳幼兒が健康であると云う事は勿論身心が健全でなければならないが,歯や口腔が生理的,心理的及び美の観點からも快適でなければならない。又乳幼兒期は口腔衞生上,最も重要な時である。以下乳幼兒の口腔衞生に就て述べる。
初生兒から乳兒期にかけ,歯の生える迄時期は,顎内に乳歯の影成が進行し,又永久歯の芽が出來る時期であるから,此の期に於ては強健なる永久歯の建設に努力する必要がある。これには母乳榮養に勝るものはない,母乳は單にその榮養學的見地に於てのみ,他の人工榮養に勝るのみでなく,乳兒が乳房から母乳を吸引するには,口腔の周圍の種々なる筋肉を働かし,その生理的な刺戟は口の周圍の諸組織の發育を促し,顎骨の發育に顔面,頭蓋骨の發育にも關係するのみでなく,これが腦即ち知能にも及ぶ,故に認に重要なる意義がある。人工榮養兒に歯並びの惡い人が多い事實も,そり1つの原因は顎の發育が不良であることにもよる。故に人工榮養兒に於て「ゴム」乳首の撰擇,授乳時に於ける乳兒の姿勢等,充分に注意が必要である。
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