公衆衞生學講座
小兒衞生學—第2講
齋藤 潔
pp.316-317
発行日 1947年1月25日
Published Date 1947/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200101
- 有料閲覧
- 文献概要
2.小兒衞生の基礎
小兒衞生の基礎は小兒の特性にある。小兒期をそれ以後の時期から區分するものは生理であるから,小兒としての特性も又た生理から出發する。小兒生理の特性が環境の變化に應じて成人とは異つて反應する。ここに小兒衞生が生れる。小兒の生理機能は成熟への段階にあつて一歩一歩成人へ近づきつゝあるから,小兒は各年齢に於て同一ではない。小兒衞生として取扱つて,小兒の生理衞生の立場から攻究する場合には小兒衞生の範圍である。
又た小兒は獨立して社會生活を營み得ざるものであつて,必す両親を通じて社會の特別の養護を必要とする。從て両親の中の片方又は両方を失ふ場合には社會は両親に代つてこれを養育すべく,小兒の社會環境は主として家庭である。小兒の年齢が若い程その環境は家庭に限局される。この場合一般社會との關係は両親を經て行はれることとなるから,両親の社會的地位,貧富,教育程度其他両親の物質的精神的の凡てがその小兒の健康に密接に結びついている。このことは特に乳幼兒期に於て見る所である。小兒が學令期に達すれは小兒は就學してここに學校といふ環境が加つてくる。この場合の衞生を學校を主として考へるならば,學校衞生の範圍に入ることとなる。從て學校衞生は理境衞生の一部門である。
Copyright © 1947, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.