看護學講座
内科學
橋本 寛敏
pp.56-65
発行日 1946年12月15日
Published Date 1946/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906158
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循環系疾患
生きてゐる體の内には,絶えず血液が循環して居るが,之によつて,體組織の活動及び造營の資材が供給せられ,そこに生ずる不用物質が排除され,又全身の體温の調節が維持ざれる。斯く血液循環は生命を保持するに缺くべからざる生理作用であつて,之が1-2分停止ずれば,死の現象が現はれる。
體の組織の活動に必要なる資材とは榮養素と酸素である。燃燒の材料となる榮養素も組織を造る資材として役立つ榮養素も腸を流れる血液が攝り込み,肝臟に貯ひ又こゝで加工する。酸素に肺で攝りこまれ,赤血球の血色素が之を擔つて,組織に運ぶ。組織で發生したる炭酸は血漿に溶け,重曹として運ばれ,肺で排泄される。組織内に生じたる含窒素老廢物ば血液に運ばれて肝臟に行き,そこで尿素其他無害の化合物とせられ,次に腎臟に運ばれ,排泄される。體内に發生する熱は,血液を温め,温かい血液が全身を循環して,全身を平等に保温する。熱が過剩である場合には,皮膚及肺を通過する血液から熱が發散される。
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