看護學講座
内科學
橋本 寛敏
pp.47-60
発行日 1948年8月15日
Published Date 1948/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906368
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普通感冐
毎年冬季或は時候の變り目に起る輕症の上氣道炎であるが,このうち人から人に傳染するものが確かにある。誰でも1年に1-2度は感冒に罹るので罹患率の多いのが問題になる。家庭の病氣の半分は感冒で,醫者が診る患者の1/3は感冒だ。
症状 感冒患者に接してから,半日乃至4日過ぎて,或は寒冷に遭つてから1-2時間過ぎて發病する。鼻の奧,咽との境が,乾いた樣なイライラする熱い感覺があり,水の樣な鼻汁が多量に流れ出る。くしやみも頻發し,咽頭粘膜も赤い。但し流感の程炎症が強くない。出血もない。熱は高くなく,38度以下だ。體もだるく,頭もボンヤリして來るが,流感程症状が強くはない。徐脈,血液白血球減少もない。病中も患者が出歩くことが多い。大抵3日位で熱も無くなつて治る。併し斯の樣に直ぐ治らずに,引き續き副鼻腔炎,扁桃腺炎,中耳炎,氣管支炎,肺炎が起つたり,病後に關節炎,腎臟炎が來る場合もある。レウマチスが起れば關節炎ばかりでなく,心臟病にも成る。一度感冒が治つてから,急に再た發熱して肺炎を起すこともある。
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