特集 看護の仕事って何だろう?
関心(気づかい)の4形態をめぐって
川上 道江
1
,
中村 志保子
1
,
箭原 ぷじゑ
2
,
田地 直子
2
,
野月 千春
3
,
土佐 千栄子
3
,
首藤 まり子
3
,
石野 徳子
4
,
武田 光代
5
,
砂田 好至子
5
,
中澤 恵子
5
,
清田 朝子
6
,
上野 眞弓
7
,
松本 千香江
8
,
村松 節子
9
,
田辺 雅美
10
,
大森 優子
8
,
佐藤 紀子
11
1日大板橋病院
2厚生中央病院
3東京厚生年金病院
4昭和大学鳥山病院
5東邦大学付属大森病院
6東京医科大学病院
7都立豊島病院
8三井記念病院
9都立府中病院
10順天堂大学附属順天堂医院
11東京女子医科大学看護学部
pp.516-519
発行日 2002年6月1日
Published Date 2002/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906082
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【事例】ベナー/ルーベル『現象学的人間論と看護』第5章より
病理学的観点に取って代わるべき現象学的観点を提示するため,ある研究から事例を2つ引き合いに出すことにする.この研究は人の携えている背景的意味と,他者への関心を扱ったものである.2つの事例から浮かび上がってくるのは,人の関心がいかに病気の意味を規定し,対処の選択肢の範囲を画定しているかである.いずれの事例でも病人は家族の一員である.
第1の事例で調査対象になったのは,ひとりの中年女性である.彼女の示した他者に対する関心は「我を忘れた気づかい」と特徴づけられた.ある面接の時,彼女は息子がスケートボードで事故に遭い,ひどい脳震盪を起こした時のことを話してくれた.彼は家で看病を受けたが,脳への圧力を取り除く手術が必要かもしれないと判断される状態が数日続いた.彼はかすかな音にも光にも耐えられなかった.彼女は寝室の窓を毛布で被った.彼女と夫と他の2人の子供はつま先で歩き,ひそひそ声で話した.彼女はほとんど付きっきりで看病し,彼以外の家族の世話をするために枕元を離れる時間は極力短くした.彼は手術の必要なしに回復した.
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