特集 看護の仕事って何だろう?
旅立つ患者と残される家族への気づかい
川上 道江
1
,
中村 志保子
1
,
箭原 ぷじゑ
2
,
田地 直子
2
,
野月 千春
3
,
土佐 千栄子
3
,
首藤 まり子
3
,
石野 徳子
4
,
武田 光代
5
,
砂田 好至子
5
,
中澤 恵子
5
,
清田 朝子
6
,
上野 眞弓
7
,
松本 千香江
8
,
村松 節子
9
,
田辺 雅美
10
,
大森 優子
8
,
佐藤 紀子
11
1日大板橋病院
2厚生中央病院
3東京厚生年金病院
4昭和大学鳥山病院
5東邦大学付属大森病院
6東京医科大学病院
7都立豊島病院
8三井記念病院
9都立府中病院
10順天堂大学附属順天堂医院
11東京女子医科大学看護学部
pp.507-511
発行日 2002年6月1日
Published Date 2002/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906080
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肝癌で3か月の余命を宣告された66歳の男性患者さんが退院しましたが,2週間足らずで腹水が著明となり再入院してきました.急変後,家族に看取られながら死を迎えようとしていました.私が入室すると,7人ぐらいの家族が涙を流しながらベッドサイドモニターの画面を見つめていました.医師と看護婦(5年目)はただ黙って傍らに立ち,モニターの波形がフラットになるのを待っているかのようでした.
私は家族に向かって小さな声で「お傍にお出でください」と声をかけ,手招きしました.家族は一瞬「いいのですか?」と言わんばかりの表情をみせたあと,すぐにベッドの周りを囲みました、私が手や足に触れさすったりすると,同じ行為を家族もしました.「みなさん傍にいらっしゃいますよ」と声をかけると,「お父さん!」「親父!」「聞えるか」「がんばったな」といった言葉が矢継ぎ早に飛び交いました.その後モニターがフラットになったのを確認し,死亡確認しました.そしていつもどおりの手順で処置を済ませました.
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