特集 訪室を避けたいと思うとき—一般病棟でのターミナルをめぐる諸問題
医師も悩んでいるターミナル期の患者へのかかわり
島松 まゆみ
1
1親仁会みさき病院
pp.144-147
発行日 1999年2月1日
Published Date 1999/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905770
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治らぬと認めるところから始まることもある
ターミナル期の医療を考えるとき,死をどうとらえるかという問題はどうしても避けられない.しかし,死を避けたいと願うことは,生物としていたって正常な機能なのかもしれない.加えて,医療・医学教育の場では,最後まで尊い生命を守ること,病いを治すことが第一義と教えられ,そのことに意義を感じて学んでいけば,治らぬと認めることを「敗北」と感じるのも無理からぬことだと思う.
私は地方の病院で内科医として勤務している.その毎日のなかで救命しつづけることがかえって患者や家族を苦しめることがある,治らぬと認めるところから始まることもあるということを感じている.そのことを私に教えたのは患者たちだった.
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