連載 老人を看る・5[最終回]
痴呆性老人の「回想法」グループ活動—その人らしさを引出しケアに役立てる
高森 千織子
1
1大宮共立病院
pp.670-673
発行日 1998年7月1日
Published Date 1998/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905633
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ここ数年,日本の医療・福祉の現場では,痴呆性老人のアクティビティケアの一環として,「回想法」という言葉がよく聞かれるようになった.
回想法は,1960年代にアメリカの精神科医R・バトラーによって提唱された,老人に対する心理療法の1つである.一般に,人は年齢を重ねるうちに,それまでの人生を振り返り,さまざまな過去の記憶や思い出に親しむ傾向にある.このような老人の過去への回想は,従来,“現実からの逃避”“過去への繰り言”と,どちらかといえば否定的にとらえられてきた.この過去の記憶や思い出に積極的な意味を見い出し,共感的な聞き手の存在によって,人生の再吟味を試みようというのが,回想法である.
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