連載 早期退院に取り組む・7[最終回]
看護部主導の入退院管理をめざして
粉川 ユリ子
1
1名古屋記念病院
pp.666-669
発行日 1998年7月1日
Published Date 1998/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905632
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はじめに
平均在院日数短縮の目的は,医療の質の向上と効率化であるが,病院経営上の大きな課題ともなっている.当院は地域中核病院として,適性な病床運用という視点に立ち,在院日数の短縮を図っている.1992(平成4)年以来,一連の診療報酬改定に伴い在院日数の短縮化の必要に迫られ,さまざまな取り組みを行なってきた.1994(平成6)年10月の診療報酬改定においては新看護体系へ移行するため,院内に「入院期間適性化プロジェクト」を設置し,在院日数短縮への対応策を検討し実施した.その結果,平均在院日数は30日以内の短縮を果たし,新看護体系2.5対1へ移行,さらに一般病院としての体制を整備強化し,1995(平成7)年には新看護体系2対1A加算へ移行した.その後,平均在院日数は26日で推移してきた.しかし,1997(平成9)年4月の診療報酬改定では,医療機関の機能に応じた入院時医学管理料の再編成が行なわれ,平均在院日数は30日を目安に,これより短いものを急性期,長いものを慢性期と2体系に区分され,より一層,施設体系の明確化が誘導された.急性期病院では1か月までの入院時医学管理料が引き上げられ,平均在院日数20日以内で,かつ紹介率30%以上の病院はさらに高い評価が得られるようになった.これは在院日数が病院の機能を吟味する1つの大きな要素となり,医療機関の機能分化が今後ますます促進されることが予想された.
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