特集 痴呆性老人と家族を支える
痴呆性老人および家族に対する地域支援—住民と共有するグループ保健活動による地域ケアシステム形成
高階 恵美子
1
1前宮城県精神保健センター
pp.112-118
発行日 1992年2月10日
Published Date 1992/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900425
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はじめに
私たちは家庭訪問や健康教室などをとおして,健康問題・健康ニードを抱える多くの家族と出会うが,近年は殊に老人を抱える家族に関する保健問題が,多様な形で表出してきているように感じられる。またそれらの解決は,保健婦・看護婦など限られた専門職者による従来の方策では,近い将来,時間的にも労力的にも十分な対応はできなくなるだろうと予測される。それは家族の介護力そのものが,近年,家族の機能や家族関係の変化および生活形態の変化などのさまざまな事柄によって変わってきていると考えられるためである。
痴呆性老人およびその家族が,満足感を得ながら生活し続けていけるには,地域全体がそれぞれの家族を支える有機的な地域ケアシステムとなって相互に役割を発揮し,より円滑に効率的かつ精度の高い保健サービスを提供できるよう,意図的な働きかけを展開することが望まれる。
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