フロントライン 2002 老人介護
グループホームは痴呆介護の切り札か?
須貝 佑一
1
1高齢者痴呆介護研究・研修東京センター
pp.1120-1126
発行日 2002年12月1日
Published Date 2002/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904091
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「痴呆介護の切り札」というキャッチフレーズで,小規模の痴呆介護施設であるグループホームが急速に普及しつつある.厚生労働省の「ゴールドプラン21」では,平成16年度までに全国で3600か所が目標になっているが,平成14年上半期までに全国で2009か所のグループホームができあがっている.1日に2か所どこかにグループホームが新しく誕生するという勢いだ.民間事業者の参入でこの勢いはますます加速している.ゴールドプランが想定している平成16年度までには,目標を凌駕してしまうのは明らかだ.
人気の背景には,少人数で普段と同じ生活状況で介護が受けられることと,痴呆症状の軽快や進行防止が期待できる,との理念がある.厚生労働省や地方自治体の後押しも効いている.たしかに,老人病院でベッド上生活だけで無為に過ごしていた痴呆性高齢者が,グループホームへ移って活気を取り戻し,買い物や炊事の手伝いができるようになったという話はよく取り上げられマスコミにも紹介されている.しかし,その反面で,入所後のトラブルや,こんなはずではなかったという期待はずれの声もよく耳にする.グループホームの入所判定にも問題が多い.
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