統計
糖尿病の患者と死者・1
菅沼 達治
1
1厚生省統計調査部
pp.11
発行日 1968年1月10日
Published Date 1968/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202048
- 有料閲覧
- 文献概要
糖尿病患者の統計は,伝染病のように医師の方たちに届出の義務がありませんので,全国的に完全なものをみることは不可能です。ここには国民健康調査という世帯の側から疾病を把握する調査の結果を,表にかかげました。これは医学的にはしろうとの調査員が,家人から疾病名をたずねるのですから,その正確性はやや劣ることが考えられます。しかし顕在性であるかぎりは,そのために医師の診断を受け,その病名が答えられるわけです。
表によりますと,1年間に国民1万人当たりの罹患率は,10年前の29〜31の3年間では年間平均して2.4という低率でした。その後32〜34年は大きな変化はなく,35〜37年にいたり約3倍に,さらに38年〜40年では12.3と5倍に増加しています。すなわち,最近では1年間に12万人が糖尿病にかかることになります。このような罹患率の増加は,次号で述べるように医師にかかる患者が増え,それまでは気づかずにいたか,がまんしていた患者が,本調査で糖尿病と答えることが多くなつたことも一因と考えられますが,最近の死亡の増加をも考慮しますと,国民のあいだに本疾患が増えていることも事実だと思われます。
Copyright © 1968, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.