特集 問われる医療過誤—千葉大採血事故裁判より
死者への祈りから怒りへ
多田 なを
pp.24-30
発行日 1971年2月1日
Published Date 1971/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661915912
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優等生看護婦の自信をもって
昭和44年4月27日,私は吸引器の右と左の接続をまちがえ杉井さんを殺してしまいました。
当時,私はただ死んでしまいたい,どうしてこんな恐ろしい事件が私と関係があるのだろう,あの時どうして私が採血にあたってしまったのだろう,こんなまとまらぬことが頭の中をかけめぐり夢遊病者のようになっていました。そして気がつくと杉井さんの墓の前でぼんやりと立ち,自殺を考えているといった逃避の日々を長々と過ごしていました。
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