特集 二交替制看護を追う
看護労働形態の多様化に関する法的・経済的側面の検討
山﨑 慶子
1
1東京女子医科大学病院看護部
pp.344-350
発行日 1996年4月1日
Published Date 1996/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901777
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はじめに
1.働きやすい勤務体制への変革のための法的検討の必要性
従来病院で働く看護婦の世界では,看護婦は夜勤をやって当然,そうでなければ半人前という,堅い信念が共有されてきた.したがって,夜勤ができないまたはしたくないという個人的な事情や意志は,一律にわがままとして退けられてきた.夜勤をしない半端な労働力は,たいていは日勤のみの外来勤務で,ほぼ所定労働時間で働くパートタイム労働者となるか,それが適わなければ潜在看護労働者として労働市場からの撤退を余儀なくされていたことは,改めて述べるまでもない.したがって看護婦が夜勤をしない働き方の選択に,市民権を与える必要がある.同様に,夜勤を選択することも,相応の評価によって,正職員としての夜勤専従者を確保できると考えられる.
看護婦の労働形態を多様化しようとする時,現行法の範囲内ではどのようなことが可能か,夜勤をする場合にも,夜勤のみをする者と,日勤と夜勤とをする者,さらには,日勤と夜勤とをする者でも,日勤中心の者,夜勤中心の者など働き方のバリエーションを認め,ふさわしい処遇をすることによって働く側の選択肢を増やすことが必要であろう.勤務帯が日勤か夜勤かという軸だけでなく,総労働時間の長短による軸も想定される.
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