けんさアラカルト
今日の時代と医療経済
小河 一夫
1
1京都南病院
pp.206-207
発行日 1985年2月1日
Published Date 1985/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203281
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前号でみたように,いま社会保障のかなりドラスティックな変革が進められようとしている.「増税なき財政再建」をめざした,①医療費適正化,②老健法と新健保法の施行,③医療法と年金法の改定,などである.
これらに関連して,声高に"人生八十年型高齢化社会の危機"が語られ,そこからいささか短絡的に"中福祉,中負担,自立・自助と互助"の必要性が説かれている.しかし,国家財政の赤字や経済不況については,まず各原因に応じてしかるべき対策が立てられねばならないであろう.そして,医療,福祉については,その前途が厳しいものであればあるだけに,いっそう慎重な検討と真に有効な対策が望まれる.ただし,何よりも,先進工業国における飽くことなき経済成長の追求は,一面の繁栄とともに,相応の矛盾を激化させていることを見過ごすことはできない.資源の枯渇,非可逆的汚染,果てしない緊張と軍備拡張,後進国との格差拡大,部分的人口急増と飢餓など,人類全体の存続を脅かしかねない深刻な情況がある.
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