特集 変容するケアの時代の法的・経済的枠組み
「医療法改正」にみる看護職の課題
外口 玉子
pp.505-508
発行日 1993年6月1日
Published Date 1993/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904284
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医療法改正における問題の所在
医療費抑制政策の一環としての医療法改正
1992年の通常国会で,それまで,4度にわたって継続審議になっていた「医療法」がついに改正されました.「医療法」は医療界の憲法とも位置づけられる法律であり,日本の医療の理念とビジョンを明示するべきものです.しかし,従来,そのような明確な医療のあり方については全く示されておらず,むしろ「医療施設法」と呼ぶ方がふさわしい法律でした.
医療法の改正がなされた背景には,人口の急速な高齢化により疾病構造が大きく変化していること,医学技術の進歩により,病院機能が多様化していること,医療の受益主体である患者の権利が語られ始めるようになったこと,などがよくあげられています.しかし,その一方で,膨張する医療費をいかに抑さえるかという意図が徹底して貫かれているようにも思われます.つまり,政府は医療費を抑制するために,医療をより効率的に提供することを最大の目的に今回の「改正」を行なったと言うことができます.
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