現場から 調査・研究
脳疾患における尿路感染の発生要因分析—尿カテ留置期間短縮後の再検討
福田 多江子
1
,
藤本 佳子
1
,
佐々木 直美
1
,
徳本 ひろみ
1
,
北島 敬子
1
,
中川 れい子
1
,
道端 由美子
1
1済生会熊本病院脳卒中センター
pp.386-389
発行日 2002年4月1日
Published Date 2002/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903947
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はじめに
脳血管障害における呼吸器感染症や血流感染症,尿路感染症(以下,UTI)は,早期リハビリテーションの遅延や在院日数の長期化につながる重要な合併症である.そのため,質の高い医療を提供するには適切な感染管理が重要である.当脳卒中センターにおいては,1997年に「脳血管障害患者の排尿管理に対する看護婦のかかわり方」についての研究1)に取り組んだ.その結果,尿道留置カテーテル(以下,尿カテ)の長期留置は尿路感染に関与していることが判明した,そこでクリニカルパスや感染サーベイランスを通して,早期に尿カテ抜去を実践してきた.尿カテの平均留置期間は1997年は19.5日であったが,2001年には6.9日へと短縮した.しかし,サーベイランスの結果,UTIの発生件数は全病院感染症(呼吸器感染症,血流感染症およびUTI)の39%を占めていた.一方,米国の急性期疾患治療病院におけるUTIは,院内感染の40%を占めている.主な原因は66〜86%が尿カテなどの器具の装着によるものであり,そのうち70%は留置から14日以内に発症している2).そこで,脳血管障害患者のUTIの発生要因を明らかにすることで,標準的な判断基準に基づくケアの遂行が重要であることが示唆されたので報告する.
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