招待席
市野川 容孝—ケアの論理で優生思想を克服する―遺伝看護の可能性
市野川 容孝
1
,
安藤 広子
2
1東京大学大学院総合文化研究科
2岩手県立大学看護学部日本遺伝看護研究会
pp.589-593
発行日 2001年7月1日
Published Date 2001/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903764
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――「21世紀は遺伝子の時代」といわれるなか,看護職はこれから遣伝に関するさまざまな問題に遭遇することと思います.先生は優生思想の分野でとくに多くの仕事をなさっていますが,まず,医療と優生思想の関係についてのお考えを聞かせてください.
市野川 優生思想が登場してくるのは19世紀の終わりから20世紀の初頭です.実は,優生思想の誕生は,医学が,細菌学の隆盛を背景として発展してきたことを受けています.細菌学の登場によってそれまで治せなかった病の原因がわかり,治療法が開発されたわけです.これにより,1880年代,近代医学はひとつの勝利を迎えました.
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