学生の広場
予後不良の患者を初めて受け持って—援助を通して学んだこと
道下 幸江
1
1日本赤十字中央女子短期大学
pp.556-559
発行日 1982年5月1日
Published Date 1982/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919553
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はじめに
今回,私の受け持った事例は,胆道癌で手術は多分無理であろうと診断された食欲不振の著明な男性患者であった.食べることに悩まされる患者に対して,援助により食事摂取量が増加するのではないかと考え,看護を実践したが,著明な変化はみられなかった.
なぜ効果が得られなかったのか,この結果を分析してみると,私自身の中で癌患者であることを意識しすぎた点に原因があったと思う.予後不良なのだという考えが先走り,そのために患者のありのままの姿を受け入れることができなかったのである.だが,こうして結果を分析することにより,癌患者に対するアプローチの難しさを体験学習できたので報告したい.
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