特集 現代の病める子ども—こころとからだ,そして社会
学校保健にみる子どもの不健康—かれらは何を訴えたいのか
荒木田 美香子
1
1浜松医科大学医学部看護学科
pp.1018-1021
発行日 2000年11月1日
Published Date 2000/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903590
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
現在の子どもたちは健康か
私の教える学校保健学という授業のなかで,大学生に「30年前と比較して今の子どもたちは健康になっていると思うか,それとも不健康になっていると思うか.そしてそう考える根拠は何か」と尋ねてみることにしている.もちろん正解などない質問である.
学生の60%は「以前より不健康だ」と答え,30数%は「どちらともいえない」と答え,ほんの5%程度が「以前より健康になっている」と答える.学生があげる根拠は3者ともほぼ同じで,30年前と比較すると小中学生の体格は向上し,心臓病や腎臓病,感染症等で命を落とすことは確実に減少した.しかしながら,アトピー性皮膚炎,喘息,花粉症等のアレルギー疾患は確実に増えている.また,特に女子中学・高校生の性感染症の広がりも無視できない.さらに不登校やいじめ,学級崩壊,少年犯罪などが増加し,精神面では以前より健康レベルが低下しているではないか,というものであり,判断の違いはどこに重きを置いて考えるかの違いである.
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.