連載 医療機器とともに学ぶ―カラダのしくみ・2
血圧のはなし(後編)
堀川 由夫
1
Yoshio Horikawa
1
1西神戸医療センター麻酔科
pp.421-427
発行日 2008年5月1日
Published Date 2008/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661101261
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今回は実際の血圧測定の方法とその意味するところを理解していきましょう.
血圧の話は幅広いですが,ここではモニター情報としての血圧測定に限定します.みなさんがよくご存じの血圧測定法は,上腕に巻いた駆血帯の圧を減じていきながらコロトコフ音を聴取する聴診法でしょう.コロトコフはロシアの医学者で,現在普及している聴診法の原理を編み出した人です.コロトコフが聴診法により血圧を測定したのは1905年のことで,血圧測定の仕組みは基本的に100年以上変わっていません.一方で,血圧測定機器の発展は日進月歩で,現在の自動血圧計は必ずしもコロトコフ音を聴取しているわけではありません.それにも関わらず,歴史的経緯から私たちは伝統的なマンシェットによる血圧測定を「真の値」として優先しがちです.自動血圧計でうまく測れないときに,「実測してみて!」とマンシェットでの測定を指示したりしますよね? では,コロトコフ法だけが「実測法」で他の方法は「推定値」なのでしょうか?
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