特集 東洋医学を看護に生かす 鍼灸の思想で西と東を結ぼう
東洋医学が看護にもたらすもの―その思想の概要
矢野 忠
1
1明治鍼灸大学鍼灸学部(健康・予防鍼灸学教室)
pp.602-609
発行日 2007年7月1日
Published Date 2007/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661101028
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東洋医学の“からだ”論からみた患者中心の医療
●心身一如のからだ1)
東洋医学の特色は,その生体観にある.それは心身二元論的身体観ではなく,心身一如の身体観であるが,単なる概念ではない.東洋医学では,表に示すように臓腑および身体の諸事象と情動・感情・精神とを対応させ,診察や治療に活かしている.
たとえば,“怒りは肝を傷る”とある.表の横欄に属する項目は,相互に関係することを意味することから,怒りという情動によって肝の機能注)が失調すると,肩こり(筋)や眼精疲労(目)といった身体的愁訴を引き起こし,逆に肩こり(筋)や眼精疲労(目)の症状は,精神活動に影響し,イライラする,怒りっぽくなる,といった精神的愁訴を引き起こすことになる,ということである.
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